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履正社医療スポーツ専門学校

昨秋の明治神宮大会で初優勝を飾り、ヤクルト・山田らプロ選手を多数輩出する高校野球の強豪・履正社のグループで、大阪府社会人リーグに加盟する履正社医療スポーツ専門学校野球コース。ここから誕生した初のプロ野球選手、昨秋のドラフトで楽天から育成4位指名された木村敏靖投手(21)を中心に、野球に関わりながら様々な世界に向かってはばたこうとしている若者たちを紹介する。

野球で道を拓く

野球コース3年目・木村 敏靖投手

どうして自分がプロ野球選手になることができたのか、今でもわからない。人の縁とは不思議なものだ。高校は無名の御所実で、木村の140キロ近いストレートへのプロからの評価は低かった。高3の夏に県大会3回戦で敗れたあと、野球をきっぱり辞めて一般企業に就職するつもりだったときに、履正社医療スポーツ専門学校の森岡正晃GM兼監督(54)に「ウチに来ないか」と誘われた。 大阪桐蔭高の野球部長だった1991年夏に全国制覇を経験した森岡GMは「バネがあって素材が面白いと思ったんです」と振り返る。練習や実戦で野球に打ち込みながら、テーピング、コンディショニングの実技やトレーニング、栄養学、解剖学の理論を学ぶやり方が、よほど水に合ったのだろう。野球コース入学後は外野手だったが、2年目の一昨年10月に投手に戻るやいなや、公式戦でいきなり152キロを計測、一躍プロの注目を集めるようになった。 「欲のない子だが、身体能力が高い。野手でバットを振り込んだこと、外野から体全体を使った返球が成長の要因でしょう」とは元阪神の亀山努アドバイザリースタッフ(47)。しかし、最大のアピールの場になるはずだった昨年4月26日の阪神2軍との練習試合では、先発したが制球が乱れ、一死もとれず3安打5失点で降板。自信を失うとともに不振に陥ったが、下半身を鍛え直す姿が楽天の目に止まり、昨年10月のドラフトで育成4位の指名を得た。 最大のセールスポイントは「一度もけがをしたことかない」という体だ。「筋肉の使い方、トレーニングを勉強しましたからね。風呂上がりのストレッチは欠かさない。メニューも考えて自分に合ったものにアレンジできる」。通常は2年で卒業だが、入学3年目の昨年は聴講生として学校に残った。「ダメだったら今度こそ一般企業で働くつもりだった」が、野球の最高の舞台が待っていた。昨年11月の入団発表では梨田監督らと対面して気合が入った。1月の新人自主トレから球団に合流し、2月から久米島で2軍キャンプ。「1年目から支配下登録されて1軍に行けたらいいが、まずは土台作りを。ストレートで勝負する投手になります」。もう、簡単に野球を辞めるつもりはない。
◆木村敏靖(きむら・としやす)1995年9月14日生まれ、21歳。奈良県葛城市・忍海小時代の新庄ハッピーボーイズ、新庄中時代の天理シニアでは投手兼外野手。御所実1年夏から投手で3年夏は県3回戦敗退。14年4月から履正社医療スポーツ専門学校野球コースで通算防御率3・82、打率・343。1メートル76、76キロ、右投げ左打ち。

生徒が完全燃焼できる指導を

森岡GM兼監督

〇…同校の森岡GM兼監督はPL学園主将、近大から大阪桐蔭高野球部長、同高ラグビー部長を経て06年より現職。「野球好きの生徒たちのいいところを2年間で伸ばし、完全燃焼できるよう指導を心がけています」と方針を語る。 元阪神タイガースの外野手、捕手だった岩田徹氏(49)、同じく元阪神で1992年の優勝争いなどで一世を風靡した亀山努氏らがアドバイザリーコーチ、スタッフとして指導している。

東京五輪の国際公式記録員になります

野球コース2年・野球部マネジャー 松本奈都美さん

野球コースの部員には野球の世界で夢を追う女性たちがいる。2年生の女子マネジャー・松本奈都美さん(20)は兵庫県警への就職が内定。警察学校卒業後は「県警桃太郎」のチーム名で活動する硬式野球部初の女子マネジャーになる見込みだが、実はもう一つの目標がある。復活する20年の「東京五輪野球に公式記録員として参加すること」だ。 同校には日本で唯一、日本野球協会の認定・推薦で国際公式記録員を養成するカリキュラムがある。週1回の英語が飛び交う授業と実地訓練が二本の柱で、松本は一昨年と昨年、日本で行われたU15世界大会に派遣された。12カ国が参加した昨年の福島大会の記録員は1試合3人一組の各国混成で会話はすべて英語。「表記の違いは比較的早く覚えられたが、やはり言葉が…。エラーかヒットの判断で割れてパニックになったこともあった」と振り返る。 3年後の東京五輪サポートに向けて「とにかく英語は単語だけでなくコミュニケーションがとれるレベルまで上げないと」と意欲満々。女性警察官となる松本が、世界の野球の舞台で、記録という秩序を守る夢に向かっていく。

理学療法士で故郷に貢献したい

理学療法学科2年 大山陽介さん

○…野球コースから編入して資格取得の道を選択することもできる。理学療法学科2年の大山陽介さん(21)は将来故郷の鹿児島・徳之島に戻って「地域医療と地域スポーツの底上げをしたい」と考えている。徳之島高時代は県16強が最高で「選手を続けたいが、野球で進学や就職は難しい」と進路に悩んでいたときに、ぴったりの学校を探し当てた。徳之島はかつてマラソン・高橋尚子のトレーニング地。阪神・矢野コーチが現役時代に自主トレを行い、上武大など大学野球のキャンプ地でもある。「島のサポートをする」という思いを胸に2年後の国家試験合格を目指す。

 

学校紹介

◆履正社医療スポーツ専門学校
スポーツ分野と医療分野で活躍する人材の育成をおこなっており、各分野のスペシャリストはもちろん、両分野を横断的に学ぶ独自のカリキュラムが充実している。スポーツ学科、鍼灸学科、柔道整復学科、理学療法学科の4学科で構成されており、スポーツ学科は野球、サッカー、テニス、バスケットボール、トレーナーなど9コース。主な就職先は各種スポーツ団体・施設、医療福祉関連など。野球コースは2年間の実技練習と座学。履正社学園と履正社ベースボールクラブの2チームで大阪府社会人リーグに加盟し都市対抗、クラブ選手権などに出場。女子野球レクトヴィーナスもある。