水都・大阪の夏の風物詩、天神祭奉納ボンドカップ「2004日本国際ドラゴンボート選手権大会(第6回世界選手権兼東アジア大会最終選考会)」が18日、大阪・桜之宮公園前の大川特設コース(500メートル)で開かれた。
オープン選手権、女子、男女混合の3種目に68チーム、1,700人が参加。オープン日本選手権は大正大学碧水会カヌー部が初出場で、女子はTEAM河童が結成4年目で、ともに初優勝を飾った。男女混合は陸(くが)ペーロンチームが、3年連続9度目の優勝。3チームは、来年9月にドイツ・ベルリンで開かれる世界選手権の日本代表候補に推薦された。東アジア大会日本代表は、後日発表される。
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◎インカレ3連覇へ弾み◎
若さに満ちあふれたパドルが、一糸乱れぬ呼吸で川面に突き刺さる。ドラゴンボート日本一を決める頂上決戦。大正大学碧水会カヌー部が、鮮やかなチームワークでゴールへ突き進んだ。百戦錬磨の横浜サーフベイザーズと、400メートルラインまで互角。そこから”2の足”を使って抜けだし、わずか1秒31差で振り切って、初出場初優勝だ。
「優勝を狙っていました。僕らは、若さが一番。きょうの勝ちが、(インカレ3連覇へ)いい弾みになりそうです。」
表彰式でクリスタルを受け取った新海芳浩主将(21)は、強豪を打ち負かしての頂点に表情を崩した。02年、03年とインカレを連覇。さらにドラゴンボートでは、今年5月に東京・お台場で開かれた東京大会で優勝を飾った。学生王者らしく、週に6日間は通常のカヌー練習。ドラゴンボートに向けて準備を始めたのは、わずか3週間前だった。埼玉・戸田の練習場から電車で片道2時間半の幸手(さって)市・行幸(みゆき)湖で、県からボートを借りて練習。日曜日しか時間が取れなかったが、カヌーで培ったフィジカルの強さが接戦でモノを言った。
友情から生まれたレンタル移籍が、勝負を分けた。国体予選のために、数人が欠場。舵取り役がいなくなり、急きょOBの上田正人さん(29)に白羽の矢が立った。
実は、上田さんは2位に敗れたサーフベイザーズの豊田監督に「舵がしっかりしていないチームに勝っても仕方がない。行ってこい。」と送り出されての試合だった。
過去に3度の出場経験を生かした風の計算やコースどりは、初出場の学生にはできないテクニックだった。
「人が移ったぐらいでどうなるほど、甘いスポーツじゃない。来年はOBが倒す番。ボクはサーフベイザーズで出ます。」と、上田さんは早くも”打倒”母校”を宣言した。今回は、先輩と敵軍の手を借りて新王者となった若龍たち。秘められた限りない可能性を、より大きな舞台で花開かせてくれるはずだ。(周伝 進之亮)
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過去3度の優勝を誇る横浜サーフベイザーズの豊田監督(36)は、オープン決 勝で大正大に惜敗も清々しい表情 「惜しいけど、自分たちが失敗して負けたんじゃないんでね」 |
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◆TEAM河童悲願の初優勝
女子の日本選手権は、武庫川女子大カヌー部OGを中心に結成された「TEAM河童」が、中盤から独走。4連覇を狙う「SUPER DOLPHIN」に3秒08の大
差をつけ、結成4年目で悲願の初優勝だ。
「3年間やって、やっと芽がでました。ドルフィンにこの大会で勝てなかったんで、うれしい」という山路愛主将(31)の目は真っ赤。
経験者は少ないが、毎週日曜の午前午後の練習でカバー。試合前の、気迫の「カッパッパー」の掛け声が、天に届いたようだ。 |
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■陸ペーロン3連覇
男女混合は、「陸(くが)ペーロンチーム」が、残り100メートルから半艇身先の東京龍舟を猛追。グイグイと差を詰め、コンマ43秒交わす大逆転で3連覇を飾った。
「最後の50メートルで仕掛けていこうというのが作戦でした。”ペーロン魂”に懸けて、舟を並べたら負けられんのです。」
岡本学監督(35)は通算9度目優勝に胸を張った。舟を使った競争を行う「ペーロン祭」で知られる兵庫・相生市の最強軍団。水槽を使った練習にビデオ研究と、舟に対する誇りは他の追随を許さない。
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