"ドカベン"一振り ミスターミズノ賞の山下捕手
温存した“ドカベン君”の一振りが勝負を決めた。ミスターミズノ賞を獲得したB.M CLUBの山下裕也捕手(22)は七回一死満塁、チームが初めて三塁に駒を進めた絶好のチャンスで登場。打球は中前に落ちる値千金の当たりとなった。
 
 二塁走者が三塁封殺のため記録は中ゴロだが、三塁走者がしっかり生還。決勝点を叩き出した。
 
 「投手が頑張っているから絶対に打ってやろうと…。フライで取られるかな?と心配したけど、球が落ちてホッとしました」

 日本一の瞬間、マウンドの歓喜の輪には加わらなかった。

 「頭が真っ白になって、動けなかったんです」。

 緊張の糸がほどけて、涙があふれた。1b72、90`の巨体にずっしり重責を感じていた“いがぐり君”は「西武ドームって…きれいなんですね」。

 試合後のベンチで、緑に囲まれたドームを見渡すとようやく照れ笑いを浮かべた。